55.累進課税と似ていることを日常から探す。「スピーチのネタ」

55.累進課税と似ていることを日常から探す。「スピーチのネタ」

こんにちは。

実は(?)、まだラグビーワールドカップは終わっていません。

日本が南アフリカに負けたので、ワールドカップ報道が急激に少なくなっただけです。

日本も含め世界のベスト8ともなりますと、フィジカル・戦術面でどの試合も『観るべし』であります。

 

さて、今回は累進課税について述べます。

 

 

 

所得税制について

 

まずは、所得税制についての復習です。

所得税の課税方式には、次の3通りがあります。

(用いる税率は架空のものです)

 

まずは、定額課税方式。

所得の額に関係なく決まった額を徴収する方法です。

例えば、年収200万円の人も年収5000万円の人も同額の40万円の所得税額です。

 

次は、定率課税方式。

所得の額に関係なく同じ割合の材率で徴収する方法です。

例えば、年収200万円の人にも年収5000万円の人にも定率の20%を課税します。

年収200万円の人は、200万×20%=40万円の所得税額、

年収5000万円の人は、5000万×20%=1000万円の所得税額となります。

 

最後が、累進課税方式。

所得が少ない人には低い割合の税率で、所得が多い人には高い割合の税率で課税します。

例えば、年収200万円の人は10%を、年収5000万円の人には45%を課税します。

年収200万円の人は、200×10%=20万円の所得税額、

年収5000万円の人は、5000×45%=2250万円の所得税額となります。

(控除額計算は、便宜的にここでは省略しています。

現実のように超過累進税率方式で控除額計算するならば、

年収200万円のひとの所得税額102,500円、年収5000万円の人の所得税額は17,704,000円)

 

課税方式による所得税額割合の違い

 

前章を基に、課税方式による所得税額倍率の違いを比べましょう。

年収5000万円の方の所得税額が、年収200万円の方の所得税額の何倍かを示す表です。

 

課税方式 年収200万円 年収5000万円 所得税額倍率
税金額 A 税金額 B B÷A
定額 40万円 40万円 40万円 1倍
定率 20% 40万円 1000万円 25倍
累進 低所得10%・高所得45% 20万円 2250万円 112.5倍

 

定額課税より定率課税が、定率課税より累進課税が、所得差による倍率が圧倒的に高いですね。

 

 

日本および諸外国が累進課税方式を採る理由

 

日本は累進課税方式を採用しています。

各国もほぼ同様です。

 

なぜ各国は累進課税方式を採用するのか?

累進課税方式を採用する正当性は何なのか?

 

この問いは、
「そもそも税とは何か」という根源的な問いにまでさかのぼる必要があります。

「国はどんな理由で徴税できるのか?」
「どんな税制が公平か?」
「公平をアプリオリに肯定するのはなぜか?」
という問いも派生します。

しかし、私には思考力も知識もありません。

せいぜい累進課税制度を採る理由を述べるならば、
「所得が高い人はインフラなどの社会的資源(社会的費用)を多く使っている。
その分、政府の歳出の恩恵にあずかっているはずだ。
だから、税金を多く払うのは当然だ。
富の再分配にも寄与する」。

このあたりが心情的に理解されやすい答えではないかと思います。

ところが、この答えですと、
「その理屈ならば、累進課税でなくとも定率課税でよいのではないか」
という反論が出そうです。

この反論に対して私が思い浮かべますのが、
単年度/短期を考えるだけならば定率課税もありえる。
しかし、長期的には累進課税が勝る。
累進課税は長期的には、二つの役割がある。
一つは、格差社会が引き起こすと想定される、諸々の負の事象への償いを果たすことが出来る。
二つめは、階級社会の形成を抑制し階層の固定化を防ぐことにつながる」
です。

さて、戦後日本はGHQ主導時も自由民主党主導時も(いわゆる小泉・竹中が新自由主義政策を採るまで)、
「平等を理念とすることで国民の労働意欲を高めて経済復興を果たした」と私は考えます。

相続税/贈与税の累進課税まで含めて答えを出すならば、
「資産の平等化・社会的階層の均等化を『生き物としての社会』が志向してきた」と考えますが、
このことを科学的に検証するのは難題です。

私にできることは、三つの課税方式に似ている日常の仕組みを探すことによって、
累進課税方式の正当性の根拠を見つけることくらいです。

 

 

日常の生活で、累進課税に似ている現象を探してみた

 

収入とは関係ない差異であっても、日常生活で必要な経費・支払いを思う浮かべてみます。

 

まずは、所得の多少に関係なく、全ての人が同額を支払う定額課税方式に似ていること

・居酒屋での割り勘(給与に関係なく同額を払う)

・町内会費(家が大きいからといって町内会費が高いということはない)

・地域での労働提供としての役務(典型的な人頭税)

・徴兵制度(同じく人頭税)

・住民税の均等割(地域に独特な税。環境税など)

・通常の駐車場の料金(軽でもレクサスでも同じ料金)

・銭湯、理容院料金(身体の大きさ、髪の料の多少に関係なく同じ料金です。以前の銭湯は女性の洗髪料が別途必要?)

・郵便料金(はがき・手紙配達料は遠方でも近所でも同じ)

・消費税、たばこや酒などの個別税

 

次は、所得の高低と同じ割合で支払う定率課税方式に似ていること

・マンションの管理費計算(自宅の広さの割合と同じ割合の管理費負担となります)

・住民税の所得割(所得のだいたい10%と決まっています)

・見本市のブース使用料(専有面積の割合に応じて使用料が必要です)

 

最後は、所得が増えれば増えるほど税率が高くなる累進課税方式に似ていること

・相続税、贈与税

・これは怪しいですが、もしかするとお布施額や神社仏閣への寄付額 ????

・ノブレスオブリージュ( フランス語の「Noblesse(貴族)」と「Obliger(義務を負わせる)」。身分の高い者はそれに応じて果たさねばならぬ社会的責任と義務があるという、欧米社会における基本的な道徳感-日本国語大辞典より)

 

このように、累進課税方式に似ている事柄は、ほとんど思い浮かびませんでした。

日常生活では他に類を見ない累進課税方式です。

 

 

朝礼スピーチでは、制度を身近な事柄に置き換えて語る

 

制度については書物やサイトを探せば分かりやすい説明が幾つも見つかります。

したがいまして、朝礼では制度を身近な事柄に置き換えて語ると良いでしょう。

例えば、

「累進課税率を今よりも低くしたら良いと思います。
自分の日常生活を振り返った時、累進課税方式に相当するような制度が見当たりません。
税金だけ累進制度を採用するのは、日常感覚から離れています」

または、逆に、

「累進課税率を今よりも高くしたら良いと思います。
自分の日常生活を振り返った時、累進課税方式に相当するような他の仕組みが見当たらないからです。
せめて税制だけでも累進率を高め、格差拡大を食い止めて欲しいです」

 

 

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